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2022年10月14日

【第二回】オリンピック出場・海外遠征経験で感じたこと(2016 リオオリンピック 体操女子 日本代表 寺本明日香さん)

前回に引き続きインタビュー「ここで、ひとつに。」でお話を伺うのは、愛知県小牧市出身で2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロと2度のオリンピック出場経験のある寺本明日香さん。
中学生の頃から海外遠征の経験もある寺本明日香さんに、国際大会に参加したときのエピソードや、オリンピックの思い出などもお話ししていただきました。
私たちは第20回アジア競技大会開催時に、各国から選手や応援団を迎えます。
その時のヒントになるお話もたくさんありました!

※写真撮影時のみマスクを外しています。


 
Q1 寺本さんの海外遠征や海外トレーニングの経験について教えてください。

実は合宿で日本を離れることはほとんどありませんでした。中学1年生のときにアメリカ、大学2年生のときにロシアへ行ったくらいです。
ロシアは、ジュニアとシニアとで全く雰囲気が違います。ジュニアはとても厳しく、特にサーキット練習が印象的でした。体操選手でもその技を2回やるだけで息切れしてしまうような技を、1分間連続でやるくらいスパルタな内容でした。みんな泣きながら練習をしていましたね。シニアは逆に、ジュニアで鍛え上げた基礎があるので、気が向いたときに練習をして、自分で調整しながらトレーニングをするような感じでした。
アメリカでは、年齢ごとにこれ以上の技をやってはいけないというルールがあるので、ジュニアは厳しいイメージはありません。ただ、シニアでは、アジアの選手が同じ内容の練習をしたら体を壊してしまうような厳しいパワートレーニングがありました。
あと、機会はありませんでしたが中国に合宿に行ってみたいと思っていました。同じアジア系で体格が似ているのになぜここまで強いのか、どんな基礎トレーニングをしているのか知りたかったので。


Q2 海外と日本で違いを感じたことはありますか?

日本の体操は競技人口が少ないので選手がとても大切にされますが、アメリカや中国のように競技人口が多い国の選手は厳しい競争があるのだと違いを感じました。
若手の選手層が厚いので、入れ替わりも激しいですね。考え方も、「他にも選手がいるので、できないならそこまで」というような、日本とは全く違うものです。日本は競技人口が少ないのでそうはいきません。ひとりひとりの成長に合わせ、じっくり育てていくことが必要だと思います。

 
Q3 寺本さんの海外遠征デビューとそのときの思い出について教えてください。

初めての遠征は中学1年生のときに行った香港です。
とにかく思ったのは、環境が全く違うということです。
海外製の器具は色も違うし、反発力や硬さが全然違います。日本製の器具はクッション性が高くて演技しやすいのですが、海外製の器具は硬いものが多いので、いつもと力の使い方を変えないといけないのでやりづらさを感じます。
これは実際にやってみて、経験で慣れていくしかありません。良い練習環境になればなるほどその違いを感じやすくなってしまうのが私は嫌だったので、練習するときはわざと自分が一番やりにくい器具を選んで練習をしていました。そうすることで、海外の違う環境でも対応できるようになります。
ただ、中学生のころ練習していた教室は古い器具が置いてあったので、はじめての遠征の香港ではあまりやりづらさは感じませんでした(笑い)


Q4 たくさんの国際大会経験の中で、特に思い出に残っている(印象的な)大会は?

特に印象的なのは、2016年のリオデジャネイロオリンピックとJOCの大会です。


 
Q5 その大会が思い出に残っているのはなぜでしょうか?

オリンピックだけは他の大会とはまた違います。
オリンピックということもあって選手の気持ちも違うのですが、一番違うのは街全体の盛り上がりですね。
あとは大会前に日本代表選手で行う結団式があるので、他競技の方とも交流が生まれます。これはオリンピックに出場しないとできない経験です。
基本的に世界大会は同じ競技の選手しか会えないので、他の競技の選手が集まるとやはり特別感があります!


Q6 選手にも街の盛り上がりは伝わりますか?

はい、もちろんです!
空港や会場までの道のりで選手のポスターが貼ってあったり、オリンピックの飾りつけがしてあったり、街全体が大会一色の歓迎ムードになっていると気分が上がります。
会場でもオリンピックのマークがマットや器具全てについているので、それを見ると「ついに来たんだな」と実感できます。


Q7 大会ではどのような楽しみ方をしていましたか?

オリンピックなど大きな大会はグッズがたくさん出るので、お土産をみるのが楽しいです!選手も結構買うと思います!
リオデジャネイロではTシャツとキーホルダーを買いました。本当に欲しかったデザインのTシャツは売り切れで買えなかったけど (笑い)
これからオリンピックに出場する選手には、お土産は先に買っておくことをおすすめしたいです。


 
Q8 寺本さんが出場されたオリンピックでの選手村で嬉しかった設備、サービスはありますか?選手村での思い出はありますか?

やはり、母国の料理が食べられることです。私は、和食が提供されていて本当に助かった経験がありますので!
私がこれまでの選手村であってうれしかったのは温水プールや炭酸温泉の施設です。あとは、ゲームセンター、ショーや舞台が観られる娯楽施設も楽しんでいる選手は多かった印象です。
卓球やジェンガ、トランプができる場所があった選手村では、同じ言語を話す選手たちが交流の場にしていたので、あるといいと思います。
娯楽施設が充実しているとやはりうれしいですね!

あとは、お土産です!出場する選手たちも結構ショップでグッズを買うんですよ。人気商品は売り切れていたりして、争奪戦になっていました(笑い)


Q9 現地の方との交流エピソードはありますか?

印象的なのはカタールに遠征したときのことですね。
カタールは年に2回ほどしか雨が降らないと聞いていたのに、私が行ったときに大雨が降ったんです(笑い)
雨が少ないから対策をしていないのか洪水で大渋滞していて、ホテルから会場まで普段なら車で15分の距離が2時間もかかりました。
しかもホテルが玄関口にくぼみがある構造で、そこにたまった雨水で乗っていたバスが動かなくなったんですね。そのときは、現地のホテルマンの方が、高そうなスーツを着ているのに、水に浸かってバスを押してくれたので難を逃れることができました。
他の国から来た私たちにも奉仕を惜しまない姿は本当に心を打たれました。



 

そういったおもてなしは、ずっと選手の印象に残ります。 2026年にアジア各国から選手団や応援団をお迎えする私たちも、大会成功に貢献したい気持ちや、おもてなしの心を持ってお迎えしたいですね!




【第一回】体操競技との出会いと今の私(2016 リオオリンピック 体操女子 日本代表 寺本明日香さん)
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