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  3. 【第三回】苦しさの先にある「自分を超えた」という達成感が、私をまたレースへと駆り立てる(名古屋ウィメンズマラソン2024 3位・東京2020オリンピック マラソン女子 日本代表 鈴木亜由子選手)

2024年04月30日

【第三回】苦しさの先にある「自分を超えた」という達成感が、私をまたレースへと駆り立てる(名古屋ウィメンズマラソン2024 3位・東京2020オリンピック マラソン女子 日本代表 鈴木亜由子選手)


日本女子陸上の長距離界、マラソン界をリードし続ける鈴木亜由子選手。親しみやすいチャーミングな笑顔とは裏腹に、ひとたびスタートラインに立てば、まっすぐに前だけを見つめるまなざしに鋭い光が宿り、コース内で繰り広げる軽やかでダイナミックな走りは人々の視線を釘付けにします。

走る面白さにとりつかれ、「自分を超えたと感じられる瞬間」をめざして挑戦を続ける鈴木選手。世界と渡り合う鈴木選手にとって、ルーツであり、アスリートとしての基盤を築いた故郷・愛知県で開催されるアジア競技大会には、どのような思い入れがあるのでしょうか。

第三回のインタビューでは、地元開催となる2026年の愛知・名古屋アジア競技大会へ向けての意気込みや、走り続けることへの思い、さらにはスポーツを通して伝えたいことなどを語ります。








 
Interviewer
鈴木選手といえば、躍動感ある走りが印象的です。ご自身の走りの中で、どのようなところに注目して観てほしいですか?

鈴木亜由子選手
私の持ち味は、バネの利いた大きな走りです。幼少期、バスケットボールで培った瞬発力やスピード感を活かした走りをぜひ観ていただきたいですね。

Interviewer
競技者として、鈴木選手を走ることに駆り立てているものは何ですか?

鈴木亜由子選手
マラソンって、決して楽しくはないんです。「楽しい」よりは「面白い」という表現の方が当てはまるのかな。
例えば大きな大会で思うような走りができず、十分に力が発揮できなかった時。「もう一度、挑戦するんだ」「またあの苦しい練習を繰り返すんだ」とふつふつと意欲がわいてくる。そういう瞬間「あ、やっぱり走ることが好きなんだ」「走る面白さにとりつかれている」と改めて気付かされるんですよね。そういうことの連続だと思います。

Interviewer
次回のアジア競技大会は2026年、愛知県で開催されます。海外から来日する選手や観客に向けて、地元の魅力をPRしていただけますか。

鈴木亜由子選手
豊橋市にある私の実家は、目の前の通りを路面電車が走っているのですが、その町並みを眺めているとすごく落ち着くんです。テコンドーや空手、野球など豊橋市で開催予定の競技もたくさんありますので、ぜひ海外の方にも、路面電車が走る独特の町の風情を感じてもらえたらうれしいです。

また愛知県には八丁味噌をベースとした食文化をはじめ、なごやめしに代表される個性的なグルメも多いので、競技はもちろん地元の味もぜひ堪能してほしいです。









 
Interviewer
ホストタウンとなる愛知県の皆さんへ、海外の方をお迎えする際のアドバイスをお願いします。

鈴木亜由子選手
海外を訪れた際に一番うれしいのは、人の優しさです。私自身、訪問先の国や町に対するマイナス面での先入観があったとしても、出会った現地の方が優しく接してくださったおかげで印象ががらりと変わるということもありました。

たとえ言葉は通じなくても、思いやりを持ってお出迎えをしていただければ、きっと心が通じ合うと思います。

Interviewer
鈴木選手が注目している競技はありますか?

鈴木亜由子選手
プレー経験のあるバスケットボールはもちろんのこと、ゴルフも気になります。

東京2020オリンピックのレース後、2カ月ほど休養期間をとったのですが、その期間に初めてゴルフに挑戦してルールも覚えました。
私自身、スポーツ全般的に割と得意だと自負していたのですが、ゴルフはまったく太刀打ちできなかったんです。その難しさと奥深さに、夢中になる人の気持ちがすごくよくわかりました。テレビ中継などで「このピン寄せ、すごいな!」と見入ることもあるので、トップクラスのラウンドをぜひ生で観てみたいです。

Interviewer
愛知・名古屋アジア競技大会に向けて寄せる思いをお聞かせください。

鈴木亜由子選手
もちろん、ランナーとして走りたいです。地元の方々の支えのおかげでこれまで走り続けてくることができたので、皆さんの前で走りたいという思いはすごくあります。

ただ3年後ですよね。その時の状況や立場は、まだ予測できない部分も多いというのが正直な気持ちです。いずれにしても、アジア競技大会という大きな大会が地元で開催されることはすごくうれしいことなので、どのような形にせよ、大会を盛り上げるために一翼を担いたい、貢献したいという思いは強いです。









 
Interviewer
愛知・名古屋アジア競技大会を楽しむための心得は?

鈴木亜由子選手
選手同士が相対する姿や本気で競技に向き合う真剣な眼差しには、きっと観る人それぞれの心に何かを訴えかける力があると信じています。

その思いを深く感じるためにも、ぜひ観戦する方には競技の場面以外にも、その舞台にいたるまでに選手がどのような努力をしてきたか、どのような気持ちで臨んでいるかということにも思いを馳せていただきたいですね。足跡や思いを垣間見ることで、きっとこれまでとは違った目線でスポーツを観戦できるのではないでしょうか。

Interviewer
走ることを通して、鈴木選手がめざしているものは何ですか?

鈴木亜由子選手
結果ももちろん大事なのですが、何よりも自分を超えられたという唯一無二の感情でしょうか。自分に負けなかった、妥協しなかった、本当にやりきった。そういう境地に達した時の達成感があるから、走ることを辞められないのだと思います。






 
Interviewer
鈴木選手が伝えたいスポーツの魅力とは?

鈴木亜由子選手
プレーするという側面から言えば、第一に健康につながること。私自身、スポーツに打ち込むことで心身ともに鍛えられました。かつては吸入器や薬が手放せないほどぜんそくに苦しんでいましたが、いまは余程体調が悪い時以外、ほとんど発作が出ることもなくなりました。

そして観戦する方の心を動かし、感動を与えられるのもスポーツならでは。プレーする人も観客も、スポーツでしか得られないものがきっとあるはずです。ぜひアジア競技大会を機に、スポーツを身近に感じていただけたらうれしいと思います。










 

マラソンって、決して楽しくはないんです。「楽しい」よりは「面白い」という表現の方が当てはまるのかな。思うような走りができず十分に力が発揮できなかった時、「もう一度、挑戦するんだ」「またあの苦しい練習を繰り返すんだ」とふつふつと意欲が湧いてくる。

そういう瞬間「あ、やっぱり走ることが好きなんだ」「走る面白さに取りつかれている」と改めて気付かされるんですよね。そういうことの連続だと思います。








故郷である豊橋市で過ごしたスポーツ漬けの日々の中で育まれたのは、類まれなる身体能力。その身体的なベースに加え、苦しさや辛さをポジティブ思考でエネルギーへと変換するセルフコントロール、そしてクレバーなレース展開を装備した鈴木選手は、唯一無二の走りで観る者の心を動かす、世界屈指のランナーへと駆け上がりました。

3年後に迫る愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会。鈴木選手が伝えるスポーツの力を通して、私たちはどれほどの感動に出会えるのでしょうか。選手の真剣な眼差しや戦う姿から得られる心動く瞬間に、今から期待が膨らみます。


※このインタビュー記事の内容は2023年12月時点のものです

<第三回 完>



【第一回】陸上とバスケの二刀流が土台。ケガとの闘いを支えたのは、恩師の存在と自分を信じる心(名古屋ウィメンズマラソン2024 3位・東京2020オリンピック マラソン女子 日本代表 鈴木亜由子選手)
【第二回】苦しい時こそチャンス。「絶対に負けない!」と攻め続ければ壁を超えられる(名古屋ウィメンズマラソン2024 3位・東京2020オリンピック マラソン女子 日本代表 鈴木亜由子選手)