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2023年10月24日

【第二回】世界の舞台で実感したアスリートとしての意識の高さ (2018-19年 バレーボール男子元日本代表 都築 仁選手)

中学2年生でバレーボールを始めてからわずか2年。愛知県屈指のバレーボール名門高校へ入学すると、1年からレギュラーの座を獲得、全国大会の舞台で活躍するなど、彗星のごとく登場して高校バレーボール界の話題の的となった都築 仁選手。

今では、最高到達点352cmから繰り出される豪快で鮮やかなスパイクを武器に、日本屈指のアウトサイドヒッターへと飛躍を遂げました。

第二回は、大学時代にバレーボール留学で派遣されたイタリアでの生活や、日本代表としての経験についてインタビュー。世界とのフィジカルの差を肌で感じたこと、第一線で活躍する選手たちに共通する意識の高さについて、都築選手ならではの言葉で語ります。



 
Interviewer
これまでのキャリアの中で、印象に残っている大会や試合についてお聞かせください。

都築 仁選手
いろいろありますが、高校2年生の時の春高バレー(全日本バレーボール高等学校選手権大会)愛知県予選の決勝ですね。対戦相手は優勝候補で、前評判では圧倒的に敵チームの方が優勢でした。

苦しい試合展開が続きましたが、自分たちのチームが不利な状況でも、決して諦めることなく全力で立ち向かい、優勝を手にして全国大会に進出できました。この時の経験は、すごく自信につながりましたね。

Interviewer
大学時代には、海外での経験も数多く積まれました。

都築 仁選手
大学1年生と2年生の時、海外支援プロジェクトとしてイタリアのプロチームへ派遣され、バレーボール留学する機会に恵まれました。選手の“サイズ感”などすべてが新鮮で、国内では経験できない高さを相手に日々練習できたことは、バレーボール選手としてステップアップするために、重要な糧になったと思います。

チームメイトや関係者の方々がすごく親切にしてくれたおかげで、暮らしの面で困ることはほとんどなく、バレーボールに思い切り打ち込むことができました。



 
Interviewer
イタリア生活で印象に残っていることはありますか?

都築 仁選手
練習場と宿舎の往復ばかりで、あまりプライベートの思い出はないんですが、2年生の時に派遣されたチームの拠点であるローマの街の美しさに魅了されたことを覚えています。

街中のいたる所に世界遺産があって、それが1日で巡れるほどぎゅっと凝縮しているんです。普段は建築美に興味を抱いたり芸術に感動したりすることはほとんどないタイプなのですが、街全体が一つの作品のように感じられたローマの風景が今でも脳裏に焼き付いています。

Interviewer
海外生活を経て、日本の良さを改めて見つめ直すこともあったのでしょうか?

都築 仁選手
海外でのプレーや生活は刺激的ではありますが、生活をするならやはり日本がいいなと思いました。海外はスリが多く、治安が悪い地域も少なくありません。水道水が飲めるといった衛生面や安全面、食の部分でも日本に勝る国はなかったですね。

Interviewer
旅行先として、もう一度行ってみたい国はありますか?

都築 仁選手
インドネシアです。日本代表として2回インドネシアに行ったのですが、現地の方がすごく温かくて、食事も口に合いました。

1回目の遠征時に友だちがたくさんできて、翌年、ジャカルタで開催されたアジア競技大会のために渡航した時には、再会を喜んでくれました。今でもSNSでやりとりをしています。

Interviewer
海外で戦う上で心掛けていることや気を付けていることはありますか?

都築 仁選手
体調を崩してプレーに影響が出ることがないように、水道水は飲まない、生ものは食べないという最低限のことには注意を払っています。その他は、日本で開催される試合と変わりありません。もちろん日本代表として戦っているという意識はありますが、気負いすぎないように、特別なことはせず平常心で臨むようにしています。



 
Interviewer
調子が悪い時やスランプに直面した時は、どのように乗り越えていますか?

都築 仁選手
調子の良し悪しは波があって当然です。悩んでも良い答えは出ないと思うので、とにかく腐らず、やるべきことをコツコツとやり続けるだけですね。「もう、どうでもいいや」と開き直ったり、投げやりになったりしないことだけを意識しています。

Interviewer
海外の一流選手や、世界の舞台で活躍する選手に共通点を感じることはありますか?

都築 仁選手
試合中やファンの前で懸命な姿を見せるということは当然ですが、誰の目も届かないようなところでも絶対に手を抜かないし、アスリート魂を持ち続けているんですよね。

食事や普段の生活の中でのちょっとした振る舞いなど、細部にわたって「アスリートである」ということを肝に銘じている気がします。良いパフォーマンスをするために必要なことを考え、バレーボール中心の生活を当たり前のように実践している、その意識の高さは見習いたいと感じました。



 
Interviewer
記憶に残っている国際大会についてお聞かせください。

都築 仁選手
自分が出場した大会ではないのですが、今年開催された国際大会で日本代表がメダルを獲得したことは、かなりインパクトがありました。「自分もあの舞台に立ちたかった」という思いももちろんありますが、シンプルに選手たちがすごくカッコよかったです!ファンとして、バレーボールの面白さを改めて感じましたね。









 

世界トップクラスの選手は、誰の目も届かないようなところでも絶対に手を抜かないし、人目のない所でもアスリート魂を持ち続けています。食事や普段の生活の中でのちょっとした振る舞いなど、常に良いパフォーマンスをするために必要なことを考え、バレーボール中心の生活を当たり前のように実践している意識の高さは見習いたいです。




一見、順風満帆にも思える都築仁選手のバレーボール人生。しかしその陰には、決しておごることなく、海外の一流選手から多くのことを吸収し、目の前のやるべきことを地道に積み重ねてきた、バレーボールと向き合う真摯な姿勢がありました。

第三回は、愛知県出身の都築選手に、地元で開催される愛知・名古屋アジア競技大会に寄せる思いを直撃。世界での経験豊かな都築選手から見た、国際大会が持つ意義とは?愛知・名古屋アジア競技大会に向けての期待感やスポーツの魅力をうかがいます。

<第三回 2023年10月31日(火曜日)掲載記事につづく>