本文へジャンプします。

IMAGINE ONE ASIA

ここで、ひとつに。

  1. ホーム
  2. ここで、ひとつに。
  3. 【第二回】東京2020オリンピックの男子団体銅メダル獲得(東京2020オリンピック アーチェリー競技 男子団体 銅メダリスト 武藤弘樹選手)

2023年01月13日

【第二回】東京2020オリンピックの男子団体銅メダル獲得(東京2020オリンピック アーチェリー競技 男子団体 銅メダリスト 武藤弘樹選手)

アーチェリー競技を通じて技術と精神を磨いた武藤弘樹選手。
世界的なトッププレイヤーである武藤選手から、アーチェリー競技の魅力や国際大会での経験についてお話を伺います。
もちろん、東京2020オリンピックのお話も聞かせてくださいました。


※写真撮影時のみマスクを外しています。


 
interviewer
武藤選手の海外遠征デビューはいつでしたか?

武藤選手
初めての国際大会は高校1年の時、中国での世界ユース選手権でした。

interviewer
初めての国際大会、印象はいかがでしたか?

武藤選手
アーチェリーを始めた時は「全国大会出場」が目標でしたから、国際大会への出場は素直に嬉しかったのです。でも、恥ずかしい思いをした大会でもありました…。

interviewer
恥ずかしい思いとは?

武藤選手
準備不足で挑んでしまいました。
出場できることに満足してしまい、勝つための練習ができていなかったので、自分の力を発揮できず本来であれば勝てる試合にも負けてしまいました。
初めて海外の選手と試合をするということもあり、緊張もあったと思います。
しかし、この悔しい思いがきっかけで練習に取り組む姿勢が変わりました。

interviewer
どのような心境の変化があったのですか?

武藤選手
悔しい思いと「リベンジしたい!」という気持ちから、今までよりも真剣に競技に取り組むようになりました。
特に悔しかったのは、勝てなかったことより、準備不足で実力が出せずに負けてしまったことでしたから、次はしっかりと準備を整えた上で、自分の納得ができる結果を残したいと思っていました。
当時は単純に多く練習すれば上達すると思っていましたから、他の部員より練習し「一本でも多く」と矢を射っていました(笑い)
だいたい平日でも毎日5時間から6時間は練習をしていました!
実際にリベンジできたのは、高校2年で出場した「南京ユースオリンピック大会」でした。


 
interviewer
その「南京ユースオリンピック大会」での思い出について教えていただけますか?

武藤選手
南京ユースオリンピック大会は、まさに「リベンジしたい!」と自分の中で闘志が燃えていたタイミングでした。
出場が決まってからの準備期間は1か月未満と短かったのですが、次の大会では絶対に結果を残したい!と必死で練習に取り組んでいたので、当時のキャデット(アーチェリーでの年齢別クラス分け)の日本記録を更新することができました。

interviewer
記録更新でリベンジ成功!素晴らしいですね。

武藤選手
その後すぐに別の選手が記録更新をするのですが(笑い)この大会で力が出せたことは嬉しかったです。
実は世界ユース選手権で負けていたので、南京ユースオリンピックは出場できない予定だったのですが、たまたま出場できることになり「ダメで当たり前」という気持ちで挑んだのが良かったのかもしれません。

interviewer
当時の国際大会では、コンディションをどのように整えていましたか?

武藤選手
当時はコンディションを整えるというというよりも、前日までたくさん練習をしていました。本来であれば大会1週間前から調節をするのですが、がむしゃらに練習していました。

interviewer
国際大会で食事での苦労はありませんでしたか?

武藤選手
食事の苦労はいつもあります。
どの遠征先でも日本の味が恋しいと思ってしまいます(笑い)


 
interviewer
東京2020オリンピック代表に選出された時の心境はいかがでしたか?

武藤選手
コロナ禍でしたから、1年の延期期間を含めて思うところがありました。
当時は練習場の閉鎖もあり、実家で父と練習するスペースを作ったりもしました。選手選考会も延期になった影響で、ふとした瞬間に選考会のことが頭をよぎり、ストレスは感じていましたね。
選出が決定してからも、試合までそれほど日数がなかったのも苦労しました。

interviewer
東京2020オリンピックで団体戦銅メダルを獲得した時の感想をお聞かせください。

武藤選手
メダルを獲得した瞬間は、達成感より「本当にメダル取っちゃったよ」という心境です(笑い)私にとっては、とても衝撃的な出来事でした。

interviewer
銅メダルを獲得した実感が湧いたのはどのタイミングでしたか?

武藤選手
表彰式でメダルを実際に掛けてもらった時です。そこではじめて喜びがこみ上げてきました(笑い)

interviewer
東京2020オリンピックでメダル獲得を決めた矢を放った武藤選手ですが、その時の心境を教えてください。

武藤選手
最後の一本を射る時は緊張していました。そして不安もありました。
私がやるべきことは分かっていましたし、結果を出す難しさも理解していたので。

アスリートは皆さん思うことかもしれませんが、結果より自分の力が出せないまま終わってしまうことが一番悔しいと感じます。
だから全力で自分の力を発揮できるように覚悟を決めて挑むことができました。


 
interviewer
緊張を和らげる方法などあるのですか?

武藤選手
もちろん、あります!
一般的に緊張はネガティブなイメージがありますが、私は必要なものだと考えています。
緊張をするということは、試合に向けて正しい努力、準備ができたという証拠と捉え、自分の中で受け入れることにしています。
そうすることで、パフォーマンスは一気に向上します。

トップクラスの選手でも大事な試合では緊張を必ずします。それに緊張が無いと、失敗しても何も感じません。そのような気持ちでは良い結果を出せるはずがないと捉えて、程よい緊張感を持つように意識をしています。

interviewer
緊張を受け入れる、とても興味深いお話です!
武藤選手はアーチェリーの個人戦と団体戦、どちらも取り組まれていますが、違いは何があると思いますか?

武藤選手
もっとも異なるのは、一本の矢の「重み」だと思います。
個人戦で負けた時は、「武藤弘樹が負けた」という評価で終わりますが、努力次第でいくらでも挽回できます。しかし団体戦で私が負けると「日本が負けた」という評価に変わり、チームに迷惑をかけてしまいます。
団体戦ではより日本を背負っている気持ちが強まります。

interviewer
武藤選手は個人戦と団体戦、どちらがお好きですか?

武藤選手
団体戦が好きですね!
プレッシャーは個人戦より感じる場面もありますが、チームメンバーと力を合わせることで3人の力が何倍にも大きくなるのが面白いですし、楽しいです。

interviewer
東京2020オリンピックで銅メダルを獲得された際は、喜びも何倍にもなりましたか?

武藤選手
はい!チームメンバーと喜びを分かち合えるのも団体戦の面白さだと思います。
もちろん、個人戦、団体戦でもさらに活躍できる選手になっていきたいですね!


 

団体戦では、チームメンバーとひとつになり、何倍にも強くなる。勝ったときの喜びも大きなものとなる。






中学校入学をきっかけに、アーチェリー競技を始めた武藤選手。
技術と共に、心を磨き瞬く間に世界のトッププレイヤーに肩を並べていきました。
次回2023年1月20日(金曜日)の第三回では、地元開催される2026年第20回アジア競技大会への思いを伺います。



第三回 2023年1月20日(金曜日)掲載記事につづく>


【第一回】アーチェリー競技との出会い(東京2020オリンピック アーチェリー競技 男子団体 銅メダリスト 武藤弘樹選手)
「ここで、ひとつに。」インタビュー一覧