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  3. 【第二回】加納選手が語る、フェンシングの魅力(東京2020オリンピック フェンシング男子エペ団体 金メダル 加納虹輝選手)

2022年12月09日

【第二回】加納選手が語る、フェンシングの魅力(東京2020オリンピック フェンシング男子エペ団体 金メダル 加納虹輝選手)

フェンシングを始めて、僅か10年ほどで世界のトップフェンサー(フェンシングのプレイヤー)として活躍している加納虹輝(かのう こうき)選手。
加納選手の素顔に触れることが出来るインタビューを3回シリーズでお送りします。
第2回目の今回は、老若男女を問わず楽しむことができる、フェンシングの魅力や醍醐味について、お話をいただきました。


加納選手のインタビューに登場するフェンシングの用語について、過去の記事でもご紹介しています。ぜひ参考にしてください!
■フェンシングについての過去の記事
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※写真撮影時のみマスクを外しています。


 
interviewer
西洋のフェンシングと日本の剣道では、どの辺りに違いがあると思いますか?


加納選手
両競技とも剣を持って面を着ける競技ですが、構え・ルールとも全く異なった競技だと思います。フェンシングが剣道と最も異なっている点は「エペ」・「フルーレ」・「サーブル」の3種目に分かれていることでしょう。
それぞれで、ポイントになる技や攻撃の優先権の有無など、ルールが個別にあるんですよ。
さらに、使う剣も形が違っているのは、剣道との大きな違いですね。


interviewer
加納選手は「エペ」の選手として活躍中ですが、選んだ理由は?


加納選手
日本では一般的に、フェンシングはフルーレから始める方が多いようです。実際、私もフルーレから始めました。「エペ」を専門種目としたのは高校1年生・2年生の頃です。


 
interviewer
「エペ」の醍醐味や見どころを教えていただけますか?


加納選手
「エペ」はルールがシンプルです。
相手の体を突けばポイントが入るというのは、とても分かりやすいですよね。
シンプルだからこそ、いろんなスタイルの選手がいて、試合中の駆け引きがスリリングな点が「エペ」の醍醐味です! 


interviewer
加納選手が「エペ」を選んだ理由は?


加納選手
当初、私もフルーレをプレイしていました。でも、密かに自分は「エペに向いているかも」と思っていたのです(笑い)
実は、高校時代のコーチもそう思っていてアドバイスを受けたのですが、当時はフルーレが大好きだったこともあり、躊躇していました。
そのような中、「エペ」の西田祥吾選手(北京オリンピック・および第16回アジア競技大会等、日本代表)のプレイを見て衝撃を受け、転向することに決めました。


 
interviewer
ご自身が「エペ」に向いていると思った理由は?


加納選手
腕を動かすスピードが速いのでエペに向いていると思いました。
腕を動かすスピードが速ければ、突きを先に繰り出せるので、攻撃の優先権が設定されない「エペ」では有利です。
私はフットワークのスピードにも自信がありました!
このスピードは、小さな頃から体操をやっていたことで養われたものだと思います。


interviewer
フェンシング向きの体格などはあるのでしょうか?


加納選手
世界クラスの大会では身長185㎝から190㎝の選手たちがたくさん参加しています!
それと比べ私は小柄な方で…。
でも、「エペ」は小柄な選手でも活躍しており、身長がすべてではないんです。むしろ、世界の選手と比べて体が小さいことは、私の持ち味だと考えています。
例えば、体が小さければ的も小さくなります。このように、体格差が有利に作用する点も多々あります。
スピードやテクニックを活用して相手と向き合うことは、自分のプレイスタイルの特徴ですし「エペ」の面白さです!
ですから、体格は特に関係なくフェンシングは楽しむことができます。


 
interviewer
フェンシング競技での、団体戦と個人戦ではどのような違いはありますか?


加納選手
同じ競技なのですが、全く違うものと捉えてプレイしています!
試合形式ですが、個人戦は15本先取する戦いに対し、団体戦は5本先取を1試合として戦います。
個人戦では、相手の様子を見ながら戦い方を組み立てられるのですが、団体戦は短期決戦なので1つのミスも許されません。
私は、それぞれプレイする機会をいただていますが、どちらも好きです!


interviewer
剣のことについて教えてください。


加納選手
剣はすべて職人さんが手作りしてくださっています。ですから、一本一本感触が違うものなのです。
一部の海外の選手は、直接作ってもらっていることもあるそうですが、日本には剣のメーカーがないこともあり、市販の何十本・何百本の中から自分に合う剣を選びます。
その剣も、金属疲労などで折れてしまいます。ですから、私達は常に10本以上ストックしています。

試合では剣4本を1セットとして出場します。ただ、大会には予備として分解している剣も3本以上は準備しますので、遠征には剣だけでも30キロ程の荷物になります。
試合中に折れることもよくありますから、自分にあった剣を用意することは重要なことなのです!
 

スピードやテクニックを活用して相手と向き合う…試合中の駆け引きがスリリングな点が「エペ」の面白さです!






フェンシング3種目の中でも、「エペ」との出会いで才能を一気に開花させた加納選手。
東京2020オリンピックを始めとした数々の国際大会で快進撃を続けています。
次回12月16日(金曜日)発信の第3回では、国際大会での経験や、地元愛知県で開催される第20回アジア競技大会への思いについてお話を伺います。


第三回 2022年12月16日(金曜日)掲載記事につづく>


【第一回】スポーツに親しんだ子どものころ、そしてフェンシングとの出会い(東京2020オリンピック フェンシング男子エペ団体 金メダル 加納虹輝選手)
「ここで、ひとつに。」インタビュー一覧