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  3. 【第三回】これからの目標や夢について(アテネオリンピック2004出場 陸上七種競技元日本記録保持者 中田有紀選手)

2022年11月25日

【第三回】これからの目標や夢について(アテネオリンピック2004出場 陸上七種競技元日本記録保持者 中田有紀選手)

「日本のクイーン・オブ・アスリート」(七種競技の勝者を称する言葉)として、数々の世界大会で活躍した中田有紀選手。現在は、プレイングマネージャーとして自身の競技人生と合わせて後進の育成にも力を注いでいます。
今回は、これからの活動や夢についてお話を伺いました。

※写真撮影時のみマスクを外しています。


 
interviewer
2026 年に開催される、第 20 回アジア競技大会。ご自身も理事として大会に関わられていましたが、愛知・名古屋で開催されることの意義についてどのように思われますか?


中田選手
愛知県はスポーツが盛んで、多くの選手が活動の拠点にしていたり、企業も新しい技術を開発したり、とても力を入れている地域です。活動する選手と技術開発が、この大会をきっかけにうまく融合していければ素晴らしいと思います。
一方で、子どもたちの体力テスト結果は、残念ながら愛知県は全国でも低いランクに位置しています。スポーツをするのに恵まれた環境がある中、子どもたちがスポーツに触れる機会が少ないというに問題を抱えているように思っています。
子ども達が「スポーツをやってみたい!」と思っても、そのスポーツができる場所を調べて予約を取れる日を探して…では、そこで諦めてしまう人もたくさんいると思います。
ですから、この大会から誰でも気軽にスポーツに関われる環境作りも達成できたらと思います。地元開催の大会で、子どもたちにとっても特別な思い出ができると思います。スポーツに、より興味をもって欲しいですね。
この大会をきっかけに、会場の設備も変わってくると思います。
そこで重要なことは、「大会のため」に新しくするのではなく、その後どのように活用されて、そこに住む方のスポーツとの距離を近くできるか。それがこの大会の意義だと思います。


 
interviewer
現在建て替え中の名古屋市瑞穂公園陸上競技場は、大会後も後世の人々に親しまれ、スポーツ振興の拠点になることを目指し、改築を進めていると伺っています。


中田選手
はい、すごく良いと思いました!私は名古屋市瑞穂公園陸上競技場の建替えの計画を見たのですが、コンコースが一般開放されて、気軽に走ることができるのは、喜ぶ方も多いのではないでしょうか。
スタジアムは、みんなが集まる場所ですよね。「あそこに行けば何かやってるみたいだよ!」と子どもたちが楽しめて、家族で気軽に過ごせる場所になると良いですね。


 

interviewer
私たちは、どのようにアジア競技大会に参加したり、支えたり、楽しめばよいと思いますか?


中田選手
競技を観にいくというよりは、選手を観にいくという方も多いと思うので、応援する選手を決めていくと、より楽しめると思います。
あとはひとりでも多くの人に、会場に足を運んで声援を送ってほしいです。
私も何万人の観衆の前でプレーする経験をしています。たくさんの観衆から応援される光景というのは、プレーや今後の選手人生にも大きな影響を与えると思うので、選手のみなさんにもそういった経験をしてほしいと思っています。
これだけの大会規模に参加できる機会は数多くありません。私たちも、より多くの方に知ってもらえるように、大会準備期間中にいろいろな発信をしていきたいですね。

あとは、ボランティアなどで大会を支えることもとてもいい経験になると思います。
私が遠征で行ったところでは、ヘルシンキの街の方人々がとても親切で、とても良い印象が残っています。
道に迷っているときに、タクシーの運転手さんやバス停で待っている方が、親切で優しく道を教えてくれました。また、レストランでは、お店の方が私たちに、細かく丁寧にメニューを説明してくれたことを覚えています。
短い時間でも、人々とのちょっとした会話から、街の雰囲気を感じ取れるものがありました。
日本にも世界に誇れる「おもてなしの文化」があります。愛知・名古屋のボランティアの方や街の方たちも、ぜひ「おもてなしの心」で訪れた人々に接してあげてほしいと思います。
みんなで楽しい気持ちを共有できたら素晴らしいですね。


 
interviewer
これからチャレンジしたいことや、やってみたいことはありますか?


中田選手
これは、いっぱいありますね(笑い)
まずは、「現役」をできるところまで挑戦したいです!

また、私が発起人として運営している陸上に関する事業があり、それを拡大できたらなと思っています。
陸上には、小学校で足が速い、投げるのが上手というような子たちが気軽に出られるような大会がなかったんですね。
陸上の大会や試合に出るには、まず日本陸上競技連盟に登録をして、そこからクラブチームに所属して大会に出場するといった手順が必要なのです。
これらを簡略化し、誰でも参加できるような小学生向けの陸上大会が作れたらと思い、年に一度開催できるように取り組みを始めました。
具体的に言うと、様々な種目が一度にできて、陸上選手に会えて、自分が選手になった気分で楽しんでもらえるような陸上の大会と運動会の間のような感覚で、自分の力をみんなにみてもらう機会が子どもたちに提供できたらと思い活動を続けています。
この事業をきっかけに陸上をはじめたジュニアアスリートが、日本代表になったという話を聞いて、「ほんとにやってよかった」と感慨深い思いを抱きました。このように、子どもたちの可能性を引き出し・伸ばして行きたいと思います。


 

陸上のすばらしさや楽しさを、一人でも多くの方に伝えていくために、これからも頑張っていきたいと思います!そのためにも第 20 回アジア競技大会を成功させたいですね!


<全三回 完>


【第一回】七種競技との出会いと日本新記録(アテネオリンピック2004出場 陸上七種競技元日本記録保持者 中田有紀選手)
【第二回】国際大会で感じた選手としての目標(アテネオリンピック2004出場 陸上七種競技元日本記録保持者 中田有紀選手)
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